2010年08月26日

トンデモ大臣

ニュース検索すると共同配信と日経にしかありませんが、厚労相がホメオパシーの効果を調べると発言したんだそうです。
ほんと、この大臣、アホだ。
私はこの長妻さんが厚労相に就任したごく初期から、その発言から、この人、少なくとも医療行政に関してはど素人だと判断した。その後の言動を見て、私のこの最初の判断は正しかった。
ところが、この厚労大臣、ど素人どころが、ドアホだったんだ!

共同通信の配信記事。
厚労相、ホメオパシー効果調べる 研究班組織へ
http://www.47news.jp/CN/201008/CN2010082501000383.html
-----(ここから引用)-----
 長妻昭厚生労働相は25日、日本学術会議の金沢一郎会長が「ホメオパシー」と呼ばれる代替医療の効果を否定する談話を発表したことを受け「本当に効果があるのかないのか、厚労省で研究していく」と述べた。視察先の横浜市内で記者団に語った。

 同省は医学者らによる研究班を組織し、近くホメオパシーを含む代替医療に関するデータ集めを始める。

 ホメオパシーは植物や動物、鉱物などを希釈した水を染み込ませた砂糖玉を飲む療法だが、24日に出された会長談話は「(これに頼ることで)確実で有効な治療を受ける機会を逸する可能性がある」と警告した。推進団体は談話に反発している。
-----(引用、終わり)-----

日経の記事。
代替医療の実態を調査 厚労省、効果などデータ収集も
-----(ここから引用)-----
厚生労働省は欧州などで広がり国内でも利用者が増えている「ホメオパシー」を含む代替医療について、国内外の利用実態調査に乗り出す。漢方や針きゅうも含め幅広く調べる。専門家による研究班を月内に発足、効果の科学的な根拠などに関するデータも収集する。通常の医療に効果的に代替医療を組み合わせる方法を探る参考にする。

 ホメオパシーは鉱物や植物成分を極限まで薄めた水を砂糖玉に染み込ませて飲むことで、病気を治療できるとする方法。日本学術会議が科学的根拠がないとする金沢一郎会長の談話を出した。ほかにも様々な代替医療が知られ、効果があると考えられているものもあるが、実態はよくわかっていない。

 そこで、厚労省は聖路加国際病院の福井次矢院長を主任研究者とする研究班を設置、来年3月まで調査する。研究費は1千2百万円。医療機関や家庭での代替医療の利用実態を把握し、研究論文などをもとに効果の有無に関する科学的根拠(エビデンス)を集める。
-----(引用、終わり)-----

ホメオパシーは、成分が含まれていないんですから、成分の効果を調べる意味は、最初からない。
その心理的というか宗教的というか、そういう効果を科学的に調べることはナンセンスです。これは、科学的検討で白黒つけられるようなものではないのですから。こんな研究は、国の金、また人的、時間的資源の浪費でしかない。
あるいはホメオパシー団体が言っているような水伝のような神秘的な効果を言っているのなら、そんなもの、最初から科学の対象外です。

長妻さんは、「「ホメオパシー」についての会長談話」をきちんと読め、最低限それだけでもやり、きちんと理解した上で、発言しろと言いたい。
ただ、読むでけはできても、内容を理解できない頭しか、この人にはないという可能性もあるのが情けない。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d8.pdf
-----(ここから引用)-----
過去には「ホメオパシーに治療効果がある」と主張する論文が出されたことがあります。しかし、その後の検証によりこれらの論文は誤りで、その効果はプラセボ(偽薬)と同じ、すなわち心理的な効果であり、治療としての有効性がないことが科学的に証明されています1。英国下院科学技術委員会も同様に徹底した検証の結果ホメオパシーの治療効果を否定しています2。
-----(引用、終わり)-----

もう既に研究は終わっているんです。
「科学的に証明されています」という論文がこれ。
Shang A et al. Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of homoeopathy and allopathy. Lancet 2005; 366: 726
posted by machiisha at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月24日

タブレットパソコンが3000円!!

3000円のパソコン、それもタブレットタイプ!
さらに最終的には10ドル、つまり1000円くらいにまで下げるとか。
もし事実なら、アップルどころか世界中のパソコンメーカーに大衝撃を与えることでしょう。それに、OSがLinuxってことは、OSで商売しているマイクロソフトも立ち行かなくなるかもしれない。
ただし、このニュースが事実ならです。
とにかく、3000円って、ソフトがただだったとしても(ウィンドウズのように、マイクロソフトに貢ぐ必要がないとしても)、ハードだけでもいくらなんでも3000円で製造販売とは無理と思うのだが。

インドが世界最安値「3千円パソコン」を開発
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/100724/58006.html
-----(ここから引用)-----
 インドの人的資源開発省は22日夕、世界最安値の1台わずか35ドル(約3千円)のタブレット型パソコンを、インド工科大学(IIT)などと共同開発したと発表した。2011年度から学生向けに発売することを目指す。
(中略)
 OSはリナックスで、文書作成やインターネット閲覧など基本的な機能のほか、ビデオ会議なども利用できるという。さらに電力供給が滞る可能性もあるインド地方の事情を考慮し、電力源に太陽電池のオプションも兼ね備えた。
(中略)
 シバル人的資源開発相は記者会見で、パソコンの価格は当初1台35ドルだが、1台20ドルに引き下げ、最終的には10ドルで販売したいとの希望を語った。
-----(引用、終わり)-----

30万円弱の自動車を作って売る国だから、もしかして、、、
posted by machiisha at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月15日

出血性外傷患者に止血剤が効く?

命に関わるような重篤な出血(つまり出血がそんなに大量な時)に止血剤が効くなんて、そんなバカなと思うんだけど、、、

トラネキサム酸が、出血性外傷患者の死亡リスクを低減:2万例の無作為化試験
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=15472

トラネキサム酸は止血剤の一種で、線溶系(血栓を溶かす体の機能)を阻害することで止血作用を発現する。血管が破綻するとそこに血栓ができて出血を止める、これも止血作用の一つ(一つであって全てではない、他にも血管が収縮したりなどの作用もある)ですが、命に関わるような多量の出血を、こんな止血作用で抑えられるはずがない、、、というのが、外科医や救急医の常識です。
でも、この研究は、死亡リスクさえも減少させたと結論している。
ほんまかいなと思うのだが、かなり大規模で、その上「プラセボ対照無作為化試験」ってんだから、信用度の高い研究なんでしょう。
う~む、考えてしまう。これは、救急医薬品のなかにトラネキサム酸のアンプルを何本か入れておかないといけないかな。

「40ヵ国、2万例の外傷患者のプラセボ対照無作為化試験」を行い、「トラネキサム酸は、10分以上かけて1gを負荷投与したのち、8時間で1gを静注投与することとした」。
トラネキサム散の1g注射液は、日本でも保険適用されています。
例えば、、、
トラネキサム酸注射液1000mg「タイヨー」
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3327401A4231_1_04/
その効能は、、、
-----(ここから引用)-----
○全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向
(白血病、再生不良性貧血、紫斑病等、および手術中・術後の異常出血)
○ 局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
(肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)
○下記疾患における紅斑・腫脹・そう痒などの症状
湿疹およびその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹

○下記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹などの症状
扁桃炎、咽喉頭炎

○口内炎における口内痛および口内粘膜アフター
-----(引用、終わり)-----

投与方法は、静脈注射か筋肉内注射(ただしこの場合は、250mgから500mg/回)、あるいは点滴静注。

で、結論は、、、
-----(ここから引用)-----
全死亡率は、プラセボ群の16.0%(1,613/1万67例)に対し、トラネキサム酸群は14.5%(1,463/1万60例)と有意に抑制された(相対リスク:0.91、95%信頼区間:0.85~0.97、p=0.0035)。

出血による死亡リスクも、プラセボ群の5.7%(574/1万67例)に対し、トラネキサム酸群は4.9%(489/1万60例)と有意に低下した(相対リスク:0.85、95%信頼区間:0.76~0.96、p=0.0077)。
-----(引用、終わり)-----

この研究結果から、「出血性外傷患者ではトラネキサム酸の使用を考慮すべきである」。
PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20554319
Tranexamic acid safely reduced the risk of death in bleeding trauma patients in this study. On the basis of these results, tranexamic acid should be considered for use in bleeding trauma patients.
ラベル:科学 独り言 医療
posted by machiisha at 11:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする