地域医療貢献加算(3点)と明細書発行体制等加算(1点)

今度の診療報酬改定で、私ら町医者の再診料が減額された。
私のようなツブクリ寸前というような、ごく一部のウハクリ以外の普通の診療所は、この数点でも痛いのですが、国家統制下にある保険診療では決まった以上はしかたがない。なんとかやっていくしかない。
で、そのお情けというか、これこれをしたら加算しますよというのが新たにできた。
一つが地域医療貢献加算(3点)、そしてあの(自称)医療被害者の大物が、自分がやったのだと自慢している詳しい明細書発行義務化による明細書発行体制等加算(1点)。

私は、これらの加算は取らないことにします。

点数が少ないというのもあるのですが、私ら町医者には、それを実際に実行する上であまりにも負担が大きすぎる、そしてその割に患者側にメリットが少ない。特に明細書発行は、患者側にメリットが無い上に害が多すぎる。まさに現場の実情を無視した机上の空論、その典型と言えるものだからです。

地域医療貢献加算
これについては、青森県保険医協会の主張に私は賛同します。

地域医療貢献加算の算定は慎重に!
http://www.ahk.gr.jp/kiji_sonohoka/koukenkasan_01.html
-----(ここから引用)-----
(前略)
 4月からは診療内容のわかる明細書の発行が義務づけられました。全ての明細書に「地域貢献加算3点」と記入されますので、医師の義務と責任がことさら強調されることになります。ボランティアで電話対応をしている現在とは全く違う状況が生まれます。もしトラブルになった時には、即座に謝罪のマスコミ発表が必要になるでしょう。患者通報による個別指導の対象になり、自主返還、監査に発展する可能性すらあります。

 そもそも「勤務医支援のために,何もしていない開業医にも汗を流させる」という発想自体が誤りです。特に、各地の小児科開業医も勤務医と一緒に、地域の小児救急を担っている事実を全く評価していないことに失望せざるを得ません。

 元来、私たち医師は社会的資本としての医療を全うするために、使命感や責任感から時間外対応はもちろん夜間、休日診療、健診・保健事業などに参加しています。それに参加している診療所が算定できることが要件であれば何ら問題はありません。

 しかし、本制度は、どこにいても「24時間応召義務を課す」全く新しいルールとなっています。今後も、条件や内容は通知一つで官僚の思うように変えることができます。

 24時間、365日対応することになれば、心身の休まる時はなくなります。ただでさえ過重労働になっている本県の開業医の状況を勘案すれば、最悪の場合過労死という事態もあり得ます。医療崩壊に更に拍車をかけ地域医療を大きく後退させることは自明です。

 今大切なことは30円を得ることではなく、「落とし穴」のようなルールを否定し、医療崩壊を防ぐ適切な医療政策を政府に求めて行くことではないでしょうか。
(後略)
-----(引用、終わり)-----

また、実際にこういうようなトラブルが起こる可能性があるという例が挙げられているのですが、確かにその通りで、実際、私ら弱小診療所がそういう目にあったら、それで即アウトです。

たった3点のために、こういう危険を犯すわけにはいきません。
病気や怪我への対処ということなら、患者さんに説明した上で危険を犯す。これは医療の宿命ですので、やるべきですが、こういう単に3点(つまり30円)のために危険を犯すわけにはいかない。

そして、地域医療貢献加算を取らないということで、これからは堂々と電話に出ないことにします。
通院患者さんから電話があって、夜中に診てくれというようなことは、私ら町医者としては宿命だと思ってやってきましたが、あほらしくなった。
当院では地域医療貢献加算を取っていないと待合室に掲げておきます。

詳しい明細書発行は、来院時に必要かどうか聞くことにします。
受診申し込み票に、詳しい明細書発行が不必要なかたは、ここにチェックを入れて下さいと。
そして、チェックを入れていない人は、あの大物(自称)医療被害者のようなモンスターとみなすことにして、診療を慎重に行うことにしようと思います。
常連さんは、いわば気心の知れたかたばかりなんで、どっちでもいいんですが、問題は新患です。
ここのチェックのありなしでモンスターかどうか分けられるとしたら、それもいいかなと。

それと、明細書には、これは医療とは関係のないものですので、その疑問には答えできません。もし知りたければ、支払い側(国保連や社保)に問い合わせて下さい、とでも書いておこうかなと思っています。
ややこしい、それも不合理の塊のようなレセプト内容を、患者に分かるように説明するためにはどれほどの時間がかかるか、そんな時間が外来にあるわけがないし、そもそも、患者に分からせることなど不可能じゃないかとさえ思える。

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