「放送倫理・番組向上機構」というのが正式な名称らしい。
BPOについて
http://www.bpo.gr.jp/bpo/
-----(ここから引用)-----
放送倫理・番組向上機構(BPO)は、放送事業の公共性と社会的影響の重大性を踏まえて、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的とした非営利・非政府の団体です。言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し、独立した第三者の立場から対応しています。
-----(引用、終わり)-----
この中の「放送人権委員会」で、あの「割りばし事件」を放送したTBSの「みのもんたの朝ズバッ!」が取り上げられたようです。
「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案
http://www.bpo.gr.jp/brc/trial/
-----(ここから引用)-----
東京在住の勤務医らから申立てのあった「割り箸事故・医療裁判判決報道」事案について4月の委員会で協議した結果、5月の委員会から実質審理に入ることを決定した。
申立ては、2008年2月にTBSのニュース情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』で放送された、割り箸事故を巡る判決報道の内容が、事実誤認及び捏造を含む内容で、医師としての社会的評価を低下させるものであり、名誉を侵害し、不公平な報道であると訴えてきたもの。
これに対しTBSは、医療事件を巡る刑事判決と民事判決を比較しながら、医療機関には「最善の注意」を果たしてもらいたいとの観点から放送したもので、名誉を毀損したとの認識はないと反論している。
委員会では、医師から提出された「申立書」とTBSから出された「回答書」をもとに検討した結果、「申立て内容」等、要件を充たしていることから、次回委員会から実質審理に入ることとした。
-----(引用、終わり)-----
これは私が強く批判したあの放送のことだと思います。
朝ズバのお涙頂戴ショー2
https://machiisha.seesaa.net/article/200802article_4.html
ショーどころか偏向番組だったんだ!!>朝ズバ
https://machiisha.seesaa.net/article/200802article_9.html
特に後のエントリーで、私は「偏向番組」だと非難しました。
「民事訴訟の一方だけに、それも不当に偏った主張を垂れ流した偏向番組だ」と。
さて、BPOはどういう結論を出すんでしょう?
まぁ、期待はしていません。
そして、どんな結論をBPOが出し、どう勧告しようが、TBSおよびみのもんたには馬耳東風でしょうし、また痛くも痒くもないことだろうというのも容易に想像できます。
被告医師が、こういう偏向番組で、どれほど社会的被害を被ろうと、彼らにすればどうでもいいことなんでしょう。
まさに、「ミノの耳にBPO」。
そして、割りばし事件の民事訴訟の高裁判決が平成21年4月15日に出たが、今度は、どの放送局もあまり取り上げなかったようです。私はきちんとテレビを確認していたわけではないのですが、いわゆる「報道番組」と称するワイドショーで取り上げているところを見ていない。
ただ一つ、m3.comの掲示板で、辛抱治郎さんが、コメントしているという書き込みがありました。
-----(ここから引用)-----
「この事件は当初メディアで大きく取り上げられ、医師が非常に強いバッシングを受けていた。私はその頃から、これはそんなに医師に責任があるのか疑っていたが、今回この様 な判決が下され、自分としては至極真っ当な判決が出たと思っている。」
「この頃は特に、医療問題があるとメディアはすぐにお医者さんを悪者にして叩いているが、その様な報道の問題が今日の医師不足を招いた一因なんじゃなないか。私を含めて、 メディアはもっと本質的な議論をすべきだ。」
-----(引用、終わり)-----
と言ったらしい。
その程度。
最初の頃とこの変わりよう!
それも被告医師側の勝訴となったら、みのもんたなんかは、ほぼ完全無視とはこれいかに。
それにしても、、、
この事件の刑事と民事が引き起こした災いにはすごいものがある。
被告医師の失われた10年、そして、救急医療の崩壊。
我々はそこから何かしら教訓を引き出さないことにはこの裁判が災いしかもたらさなかったことになっていまいます。
被告医師の失われた10年、救急医療の崩壊という災い、その何十分の一かでも取り戻す、何かしらの教訓を。
それはどういうものだろう?
m3の掲示板に「教訓」と題して投稿されているのがあったので紹介します。
nob3というかたのメッセージ。
-----(ここから引用)-----
私が今回のことから学んだこと
1.子どもが口にものをくわえて動き回ることは非常に危険である。。
2.外傷は本当に想像もつかないことが起こりうるので、診断が不可能なことがある。
3.妥当な診療をしていても裁判の被告になってしまうことがある。
(今更言うことでもないが、痛感した)
この事故の状況はあまりにも特殊で、こういう症例があったということを知っていても実際の診療の参考にはなりにくいと思います。逆に根拠のない不必要な検査が増えることの方がまずいのではないでしょうか。
小さい生命を守るためにしないといけないことは、二度とこのような事故を起こさないように、小児がものをくわえて動き回っているのを見逃さないことにつきると思います。
-----(引用、終わり)-----
それにしてもこの裁判が始まるときに、今の救急崩壊を予言していた(被告医師の)支援者の人達の先見性には感心させられます。
不当起訴された耳鼻科医を支援する会
http://erjapan.ddo.jp/
このホームページのトップにはこうあります。
-----(ここから引用)-----
救急外来で業務上過失致死を問われる?
もしあなたが懸命に治療したにもかかわらず、救命できなかった患者から
「あなたのせいでこの子は死んだのだ」と刑事罰に問われたとしたら?
__________________________________________ あなたはどうしますか。
誠心誠意、治療をおこなっていた患者が不幸な転帰をとってしまう。
医療に携わるものにとって、こんなにも無念なことはありません。
しかも、死因は病気や事故であるにもかかわらず、担当医師が「あなたのせいでこの子は死んだのだ」と刑事罰に問われたとしたら・・・・
結果論で「あの時こうすれば助かっていたはずだ」と責められたとしたら・・・・
そんな社会で救急医療が成り立つのでしょうか?
このホームページはそんな救急医療の危機への警鐘です。
-----(引用、終わり)-----
そして、この会の掲示板にはこうあります。
刑事裁判で被告無罪が確定した時のものです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/667/1228574271/2
-----(ここから引用)-----
無罪確定!
2 :(・∀・):2008/12/06(土) 23:39:25
ちょいとな先生よりのコメントを以下に転載させていただきます。
この会が役割を終える事になったときいてほっとする反面、私たちの予言が当たってしまった事は哀しい現実です。
会のホームページを作るにあたって、「このままでは、誰も救急医療に携わらなくなる、救急車に乗っても受け入れてもらえなくなる」といった、少々過激な予言をしました。その時には、あまりにも恫喝的だとか、大げさすぎると非難を浴びましたが、現実はどうでしょうか?
あの時、我々の言葉に真摯に耳を傾け、医療界だけでなく行政・司法が危機感を共有し、将来の救急医療を支えるべく動いてくれていたなら、現在のような危機的な状況に陥らずにすんだのではないかと思うと、残念でなりません。そう、救急医療の危機に警鐘を鳴らすというこの会の目的は、残念な事に警鐘を鳴らすまでもないほどに危機が広まり、世間に認知される」という最悪な形で終わる事になってしまいました。未だに世間は高次救急施設やスーパードクターの手にかかれば、どんな状態からでも生還できるかのような報道が散見されています。
「人は必ず死ぬ」「救急医療の門をくぐるという事は死を覚悟する事」をコモンセンスとして浸透させていく事が、これから本当に必要な事なのではないかと思います。
救う会の活動は終了する事になりましたが、これからも5年先、10年先を見据えた提言を行っていきたいと考えています。
-----(引用、終わり)-----
自分に都合のいい「真実」にしか眼を向けない者達がいなくなることはないでしょう。
これからも、この手の、自分たちの悲しみの責任を、たまたま身近にいた他人に取らせようとする者達、そしてあわよくばさらにそこから賠償金という利益まで得ようとする者達がいなくなることはあり得ないでしょう。また、こういう弱者面した者達の支援者、つまり弱者の味方をしているんだと思い込んでいる偽善者達も。
このような裁判が無くなることはありえない。
我々は自衛するしかない。防衛医療という自衛を。
それがこの事件の一番の教訓かもしれない。