2009年05月12日

痴漢「冤罪」事件?

外科医が、「手元が狂った」と大腸内視鏡を、大腸じゃなく膣に入れてしまい、強制わいせつ罪で逮捕されたというニュース。
これを読んだ時、なんじゃこれと驚いた。ただし、たぶん医師ではない一般の、それも大多数のかたたちとは、全く正反対の意味で「驚いた」。これも、大野病院事件と同じく、「こんなので逮捕されたんじゃやってられない!」ってのもあるのですが、それ以上に、これって少し前にあった痴漢冤罪事件、最高裁で逆転無罪となり大きく報道された痴漢冤罪事件と同じ構図じゃないのか、それがまたどうしてというのが大きかった。

痴漢事件で防衛医大教授に逆転無罪 最高裁が判決
http://s03.megalodon.jp/2009-0415-0934-17/www.asahi.com/national/update/0414/TKY200904140274.html(朝日、魚拓)

この無罪判決に警察庁長官が「今後の捜査について、多角的に検討する必要がある」と述べているのに、なんでまた?
「痴漢事件捜査、多角的に検討」 無罪判決で警察庁長官
http://s04.megalodon.jp/2009-0424-0037-36/www.asahi.com/national/update/0416/TKY200904160291.html(朝日、魚拓)

肛門と膣を間違えるってことは、私のような町医者でもいつも心配しています。
やらかすのじゃないかと。
また、外尿道口と膣もです。こちらは膀胱カテーテルを挿入する時に、尿道と膣を間違えないかという心配です。
こういう、医師ではない人達には、「そんなバカな」と思われ、理解しがたいことかもしれませんが、それが普通であり、常識でさえあるのです。
私は、そういう失敗をやった経験はありませんが、しないかという心配はいつもしている。事実、m3.comの掲示板でも、自分はやらかしたことがあるという書き込みが多数あります、それも万という多数例の内視鏡をやっている専門医も(数を多くしている専門医ほど、それだけ経験している確率も高いってこと)。

そして、医師になる前の臨床実習では教官から、なってすぐの研修医ではオーベン(指導医)から、女性は一人では診るな、必ず看護婦(看護士ではなく女性看護師)同席で診ろとくどいほどいわれるものです。
それは、こういう事例があるからです。
敏感関係妄想のある患者や、中には恐喝のネタとして痴漢行為をされたという訴えを起こされることがあるから、くれぐれも気をつけろと。
(しかし、実際は、なかなかそれを守るのは難しい、人員の少ない中でやっておればなおさら)

この事件の報道、産経のを見て下さい。
「手元狂った」 外科医を強制わいせつ容疑で逮捕
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090507/crm0905071154003-n1.htm
-----(ここから引用)-----
 大腸の内視鏡検査を受けていた20代の女性の性器に内視鏡を入れたとして、警視庁捜査1課は強制わいせつの疑いで、東京都板橋区小豆沢、外科医師、堀江良彰容疑者(53)を逮捕した。同課によると、堀江容疑者は「手元が狂った」と犯意を否認している。

 同課の調べによると、堀江容疑者は平成16年5月28日、勤務先だった豊島区長崎の病院で、大腸の内視鏡検査を受けていた当時20代だった都内の女性の性器に内視鏡を入れるなどわいせつな行為をした疑いが持たれている。

 同課によると、堀江容疑者は立ち会っていた看護師が目を離した間に、わいせつな行為をした。その場で女性から抗議を受け、「手元が狂った」などと説明していた。女性は今月28日午前0時に時効を迎えることを考え、今年2月に被害届を出した。
-----(引用、終わり)-----

事件は平成16年、つまり5年も前のことであること、そして被害者を自称する女性も5年もたってから被害届を出しているというのも奇妙です。
そんな事件に物的証拠があり得るのだろうか?
私には、被害者を自称する証言だけ、物的証拠などなしに逮捕したのだとしか思えない。
それを、先のような無罪判決があったのに、どうしてまた逮捕まで、それも現行犯逮捕でさえなく5年も前の「事件」を。

容疑者が説明しているように「手元が狂って」腟にということは、先にも書いたように実際にあり得ることです。
ただし、もしかすると、故意に膣に入れたという可能性もあるかもしれません。そして、この容疑者の医師は、診療の場で痴漢行為を繰り返している変態医師であり、それを分かった上で警察が逮捕に踏み切ったという可能性もある。
でも、この事件で、痴漢行為を行った、故意に腟に内視鏡を入れたということを証明する物的証拠などありえるのだろうか?

本当に奇妙です。
例によってマスコミは、こういう変態医師がいるぞいうバッシングを始めています。
この産経新聞も、逮捕の段階で、それも容疑者が否認しているのに実名報道しているし、中には顔写真まで出しているところもあるようです。

私なら、この自称被害者を誣告罪で告訴する、そしてこういう報道をしているマスコミも片っ端から名誉毀損で訴えます。
そうそう、ZAKZAKというタブロイド紙(ネット上だから紙というのもおかしいですが)にコメントしている「元国立医療センター医師」の黒木誠氏も、です。

「専門家」の定義とは何なのか
http://gurikenblog.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-5cf7.html

この黒木誠氏とかいう人物、医師であるのは事実のようです。
厚労相の医師資格等確認検索でヒットするようですし、「ふれあい鎌倉ホスピタル」とかいうところで「週二回の(非常勤での?)内科外来」もしているような。
ですから、フジサンケイグループ御用達の医療ジャーナリストとか自称しているが、実際はエロ写真家崩れのど素人、というのではなく、医師であり、実際、どれほどかは分かりませんが、臨床も少しはやっているようです。
しかし、、、
-----(ここから引用)-----
日本国内唯一の黒木誠氏の現在の境遇について調べてみますと、確かに週二回の(非常勤での?)内科外来もされているようなんですが、別の施設では(やはり非常勤での?)皮膚科医をされていまして、しかも論文等の業績を見てみますとどう見ても内視鏡の専門家どころか、一般的な内科医のそれですらなさそうなんですよね。
-----(引用、終わり)-----

そして、この「日本国内唯一の黒木誠氏」がしきりに持ち出す「元国立医療センター医師」という肩書き、これはいったいどういう意図なのでしょうか?
「元」って?
-----(ここから引用)-----
少なくとも2001年以降は東邦大学皮膚科第一講座所属と言うことのようですから、逆算して(恐らくは内科系研修医として?)国立医療センターに勤務されていたのは医師免許取得直後のせいぜい2年間以下の期間に過ぎないことになってしまいますから、要するに「国立で研修医をやってみたが初期研修だけでドロッポして今は皮膚科をやっている」という何のキャリアなんだかよく判らない経歴の持ち主と考えてよさそうです。
-----(引用、終わり)-----

現在の肩書きじゃなく「元国立医療センター医師」を持ち出す意図は?
まぁ、推測はできます。

ZAKZAKは夕刊フジという正真正銘のタブロイド紙の公式サイトのようで、そういうところ御用達の御用コメンテーターなんでしょう、この黒木誠氏とかいう人物は。
posted by machiisha at 17:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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