2009年04月05日

究極の選択

「究極の選択」ってのは、どれかを選ばないといけないが、そのどれもが都合の悪いもの、というような意味でしょうか。
究極の選択を迫られる当人にはこの上ないつらいことです。

ネットでサーチするとこういう例も。
“究極の選択”迫る入管…少女残し両親帰国へ
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2009/03/14/07.html
この「日本生まれのフィリピン人、カルデロン・のり子さん(13)=埼玉県蕨市立中1年=と父母の強制退去問題」で、入管は「家族全員で帰国するか、のり子さんだけが日本に残るかを13日までに決めるよう求め、回答がなければ17日に3人を強制送還するとしていた」という選択を求めた。
まさに上記の「究極の選択」です。

で、今回は、この話をしたいのではなく、今まさにこの日本国がその「究極の選択」を迫られているという話です。
それも、労働基準法に関係した話。

第一報はたぶんここ。
(速報)愛育病院に労基署が是正勧告
http://lohasmedical.jp/news/2009/03/25145736.php
-----(ここから引用)-----
 東京都港区の恩賜財団母子愛育会・愛育病院(中林正雄院長)が今月、所管の三田労働基準監督署から、医師など職員の労働条件に関して、36協定を締結していないことなどを理由に、労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが分かった。最悪の場合、業務停止に追い込まれるという。同病院は、秋篠宮紀子様が悠仁親王を出産されるなど、条件の恵まれたセレブ病院として知られている。また、1999年には東京都から総合周産期母子医療センターの指定も受けている。他病院に比べて労働条件に恵まれた同病院さえ是正勧告を受けたことで、周産期医療界に激震が走っている。(熊田梨恵)
-----(引用、終わり)-----

そして、労基署が入ったのは愛育病院だけじゃなく日赤医療センターにも入っていたし、この問題は、日本全国、公立、私立を問わない全ての病院に関係する話になっている。
愛育病院だけの問題じゃないという話。
http://lohasmedical.jp/blog/2009/03/post_1663.php

この労基署による是正勧告に、愛育病院がどう対応し、それが法律上、どれほど問題なのかというのはYosyan先生のブログが詳しい。
2009-03-26 労基署と言う選択
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090326

2009-03-27 愛育病院の続報
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090327

愛育病院にしろ日赤医療センターにしろ、明かな労働基準法違反です。
これらは既にだいぶ前から、ネット上の医師には常識の話だった。
墨東病院、バリバリの労働基準法違反だとおもうの(>▽<)!!!
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/12/post-0f48.html

労働基準監督署が、パンドラの箱を開けたのです。
そして、究極の選択を迫っています。
1)労働基準法をきちんと守る、しかしそうすれば医療は崩壊する、少なくとも救急医療と産科医療は絶対に成り立たない。
2)労働基準法を守らず、医師に奴隷労働を強いる。これなら、まだしばらくは医療は持ちこたえられるでしょう。そのかわり、この国は法治国家だという建前は捨てないといけない。そして時にはある職業人を奴隷としてこき使うこともある前時代的国家だということになる。

なお、私は医師の端くれとして、今、奴隷労働をしている、そしてこれから奴隷労働をさせられようとしているかたに次のサイトを紹介しておきます。
辞令を受け取ったら、県の労働基準局へ行こう(>▽<)!!!
http://obgy.typepad.jp/blog/2009/04/post-c8df.html

そして、きちんと自分の労働時間を記録しておきましょう。
なお、時効は2年だそうなんで、訴え出るのはお早めに>勤務医の皆さん
ラベル:事件 独り言 医療
posted by machiisha at 12:20| Comment(0) | TrackBack(2) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: (関連目次)→医療安全と勤労時間・労基法
Weblog: 産科医療のこれから
Tracked: 2009-04-05 19:45

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