2009年03月03日

冷却スプレー

注射時の痛みはそれほどではないけど、持続点滴ルートの確保するために静脈カテーテル(カニューレ)は痛いと言う人が多いです。
太いというのもありますが、静脈を探って挿入するっていうのもあるかもしれない。

私は、以前からこれに冷却スプレーが使えないかと思っていました。
スポーツ選手が打撲したときなどにシューと吹き付けているやつです。
ペンレスという局所麻酔剤のテープがあることはあるんですがある程度麻酔が効いてくるのに時間がかかる。何度か試したことがあるんですが、数分では全く効果がない。効能書きには「本剤を1回1枚、静脈留置針穿刺予定部位に約30分間貼付する」とあって30分も待たないといけない。子供にこれくらい待ってやったことがあるんですが、痛がって(針を刺すこと自体を嫌がったのかもしれない)、結局同じだった。
画像

冷却スプレーなら、待たないでいいし、その上、費用も安いのではないかと考えていたのですが、まだ実行したことはありません。

冷却スプレーがカニューレ挿入時の痛みを軽減
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/200902/509604.html

元記事はBMJですから、与太記事ではないでしょう。
Effect of topical alkane vapocoolant spray on pain with intravenous cannulation in patients in emergency departments: randomised double blind placebo controlled trial
http://www.bmj.com/cgi/content/full/338/feb10_2/b215

「Randomised double blind placebo controlled trial」とありますからかなり信用のおける研究のようです。

-----(ここから引用)-----
 今回用いられた冷却スプレーは、プロパン、ブタン、ペンタンの混合物に香料を加えたもので、1人分のコストは0.1ユーロ程度。

 挿管の準備が整った時点で、挿管部の皮膚に、冷却スプレーまたは水(エビアン)スプレーを、12センチ離れた場所から2秒間噴霧。アルコール綿で拭いてカニューレを挿入した。スプレー噴霧から15秒以内の挿入完了を義務付けた。
-----(引用、終わり)-----

「水(エビアン)スプレー」をプラシーボにした研究のようです。
原文にはこうあります。
-----(ここから引用)-----
The control (placebo) spray was Evian Eau Minerale Naturelle, a pure water spray with hydrocarbon propellant. This product is used to provide a cooling mist for comfort during hot weather. It is also packed in a handheld pressurised spray can of about the same size as the intervention spray.
-----(引用、終わり)-----

炭化水素の高圧ガスでただの水をスプレーするもののよう。
これだけでもある程度の冷却効果はありそうな。

冷却スプレーの方は、
-----(ここから引用)-----
The vapocoolant (intervention) spray was COLD Spray, manufactured by DIFA Chemical Industries for Alpha First Aid Supplies. It is a propane, butane, and pentane blend, with an added fragrance, and is supplied in a standard (about 20 cm long, 250 g in weight) handheld pressurised spray can. It is registered with the Therapeutic Goods Administration, Australia, for the first aid treatment of muscular pain and other injuries. One 250 g can costs $A13.90 (£6, {euro}7) and contains about 70 administrations.
-----(引用、終わり)-----

で、結論は、「冷却スプレーは、痛みの軽減において有効で安全、かつ患者の受容性も高かった。」と。

問題は実際にどういう冷却スプレーを使うかです。
薬屋さんで以前買った冷却スプレーがあるんですが、メントールが入っていて臭いがあってさすがに医療現場で使うのには躊躇する。
メンソレータムの「ICEラブ」とかいうので、メントールの作用でしょう、長く皮膚の冷たい感じが残りますが、実際の冷却効果は弱いような感じです。それにサリチル酸とかいろいろ他に入っているのも問題です。

また薬屋さんで探してみるかな。
ラベル:健康 科学 医療
posted by machiisha at 11:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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