2006年12月11日

産科医逮捕関連>日本国医師の総意

平成18年2月にあった福島県における産科医逮捕事件。私も、あまりにも不当だと何度かこのブログにも書きましたが、日本全国の医師、産科医に限らず声明を出しています。そして、今度は日本医学会が会長名で逮捕は不当であると声明を出しました。
これは、日本国の全医師が逮捕は不当であると言っていることになります。

http://www.med.or.jp/jams/info/061206seimeibun.html
平成18年12月6日
声明文
日本医学会長
高久 史麿

不当であるとする根拠は2つにまとめられると思います。
1)「不可抗力ともいえる本事例で結果責任だけをもって犯罪行為として医療に介入することは決して好ましいと思いません.」ということと、2)「異状死の定義も定かでなくコンセンサスの得られていない医師法第21条を根拠に逮捕することは,その妥当性に問題があるといわざるを得ません.」です。

医療行為という、非常に高い専門性を必要とし、その場、その場で、今までの知識と経験によって最良と思われる決断を行っていくような行為に、その結果だけをもって業務上過失罪を適用することは間違っています。
こんなことをしているのは、先進国で日本だけという、非常に奇異なことです。それは、そんなことをすると、医療を歪め、結局は国民をよけい不幸にするだけだということが明らかだからです。
よく、遺族が真実を知りたいから提訴したなどということを言っていますが、裁判は真実を明らかにする場ではりません。刑事だろうが、民事だろうが、裁判というのは、ゲームです。被告側、弁護側によるゲームであって、科学的な真理が、そこで明らかになるというようなものではない。検察官も弁護士も医療の専門家ではない、彼らは裁判という特殊なゲームのプロであって、医療という専門分野のプロではない。またそれを裁く裁判官も同じです。そういう者達が医療の正否を決定すれば、医療を歪めてしまうのは当然です。
事実、どうしてこんな判決になるのだというような裁判の結果、現場の医療が歪められてしまっていることが多々出てきています。その結果として、医療現場が防衛医療に走るのは当然とも言える。

声明から引用します。
-----(ここから引用)-----
純然たる過失のない不可抗力であっても,たまたま重篤な合併症や死亡事例に遭遇したことで逮捕されるようでは必要な医療を提供できず,大きな国家的・国民的喪失となります.消極的・防御的医療にならざるを得ず,このような逮捕は萎縮医療を促進させ,医療の平等性・公平性のみならず医療・医学の発展そのものを阻害します.若い医師は事故の多い診療科の医師になることを敬遠しており,ますます医師は偏在することになります.
-----(引用、終わり)-----
ラベル:健康 生活 医療
posted by machiisha at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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