2006年03月17日

産科医逮捕関連>感情的なのは、、、

波紋広がる産婦人科医逮捕 過熱ぶりに疑問の声も {1}
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&articleId=28638

これを読んで驚きました。
燎原の火のごとく抗議の声が上がっています。
私ら町医者、それも産科ではない医師から、産科専門医団体や教授までが、この逮捕はおかしいと、こんなことをしていたら日本の医療が無茶苦茶になると。
さらに、国会でも野党ばかりでなく与党の方からも疑問が出されている。

こういう事態になったのは予想外だったんでしょう、捜査幹部が「こんなに感情的な反応がくるとは」と驚いているんだそうです。
>福島地検も「遺体もなく、身柄を確保したうえで関係者の話を聞く必要があった」とし、ある捜査幹部は「われわれは患者の目線で捜査している」と立証に自信を見せるが「こんなに感情的な反応がくるとは」と驚いている。

「患者の目線で捜査」って、それって「感情的な反応」ではないのか?
我々は、事実に基づいて冷静に捜査している、それなのに「こんなに感情的な反応がくるとは」と驚いているというのなら分かるが「患者の目線で捜査」としか言えないのは、それこそ自分たちは「感情的な」捜査をしていますよと公言しているようなものだ。

これ以上に驚いたのは次の「医師らの反発を冷静に見る医師もいる」という打出喜義(うちで・きよし)講師とかいう人のコメントです。
> 医師らの反発を冷静に見る医師もいる。金沢大病院が患者に無断で臨床試験をしたと内部告発した同病院産婦人科の打出喜義(うちで・きよし)講師は「自分の家族が今回と同じ形で亡くなったら、仕方なかったと言って陳情書に署名するだろうか」と話す。

> 打出講師は「多くの人は『逮捕は行きすぎ』と考えて署名したと思う。その点で警察には説明責任がある」とする一方「産婦人科医が少ないから仕方ないとか、応援を呼べる状態ではなかったとか、正当化しすぎている」と批判。「医者と患者の間に信頼関係があればこういうことは起こらない。信頼関係がなければ医者と患者も不幸になる」と話した。

「自分の家族が今回と同じ形で亡くなったら、仕方なかったと言って陳情書に署名するだろうか」なんて、まさに「感情論」以外のなにものでもない。
次の「医者と患者の間に信頼関係があればこういうことは起こらない。信頼関係がなければ医者と患者も不幸になる」なんてのも、原則論馬鹿、一般論馬鹿の典型です。医師患者関係における信頼関係は大切であるという誰も反対しない原則論、一般論をあげて何か立派な発言をしたつもりになっている。そういうのを原則論馬鹿、一般論馬鹿と言います。こういうコメントには、だからどうした?、としか反応しようがない。

この打出講師って、産婦人科が専門なのに、こんな感情論の、それも内容のないコメントしか出せないとはどういうことだ?
大学で産科の臨床現場に立っているのだろうか?
大学の講師なんだから、研究もやっているのだろうけど、、、

なお、この講師の先生については以下のサイトを参照。
このサイトに書かれていることが事実としたら(たぶん事実でしょう、この講師の先生のコメントよりはるかに冷静なコメントですし)、この講師の先生、研究者として失格だし、人間としてもどうかと思う。

研究者のルール
http://cellbank.nibio.go.jp/information/ethics/refhoshino/hoshino0083.htm
>ゆえに、打出氏が事前にきちんとした調査研究もせずに、ご自分の思い込みと勝手な推量のみで書かれたことが明らかな「直言」の朝日新聞朝刊の掲載発表は、あまりにも無責任であり、国立大学病院の講師としてあるまじき暴挙であると言わざるを得ない。
ラベル:医療
posted by machiisha at 00:58| Comment(0) | TrackBack(1) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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推薦シンポジウムについて
Excerpt: 昨日、『日本のお産を守る会シンポジウム』を推薦しましたが、含みのあるコメントが付いたので、検証してみます。
Weblog: kameの いい味出してね
Tracked: 2008-05-19 18:51